特定社労士の比嘉です

かれこれ15年前の話です。担当させていただいている事業所の部長さんから電話がかかってきました。要約すると、「採用に失敗した。採用初日からミスばかりする。8日しか働いていないので、解雇予告支払わず辞めてもらった」とのこと。部長さんの認識では、14日以内に解雇すれば、解雇予告手当を支払わないでいいそうです。また、試用期間中は「自由に解雇できる」ともおっしゃっていました。嫌な予感がしたので、当たらないことを祈りながら質問しました。

私「8日働いたとおっしゃいましたが、採用の日から何日経過していますか?」部長:「15日目です。でも働いた日はたった8日だよ」

予感的中です。1日違いで大違いです。

電話があった翌日、解雇された方がパートナーを伴って部長を訪ねてやってきました。「解雇予告をもらっていない。法律違反だ!すぐ払わなければ法定期手段に訴える!」とすごい剣幕だったそうです。解雇予告手当の計算方法をアドバイスし、即支払いの手続きを取るよう伝えました。

1日違いでえらい違いです。勘違いして理解している方も多いのですが、試用期間には、労働基準法で決まっているものと、事業所が任意に決めることができるものがあります。少々ややこしくなってきました。労働基準法で決めているのは「試みの試用期間」といいます。14日以内で解雇する場合は予告期間や予告手当はいりません。もちろん、解雇するには合理的理由(誰が見ても、誰が聞いても仕方ないと思えること)が必要です。

労働基準法で決めている試みの使用期間は暦日の14日間です。入社から14日以内です。働いた日ではありません。正確に理解しておかないと、1日違いで大違いを体感することになります。

知らなかったでは済まないのが法律だと改めて考えさせられた出来事でした。

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