特定社労士の比嘉です。
先日、お客様から「辞めた社員の立替金○○円回収できない」と相談を受けました。結構頻度が多い問題だと感じています。
回収できない立替金は多岐にわたります。「貸付金」「住民税」「社会保険料」などです。回収が難しくなった理由ですが、「復職してまとめて支払ってもらおう」との親切心です。
立替が1カ月程度であれば、あまり負担感はありませんが、実務上休職が長期に及び、立替金が多額になってしまうことが多いです。
このようなトラブルを防ぐため、事前対策が重要です。
一つ目、住民税ですが、休職前に普通徴収へ切り替えておきましょう。通常は、特別徴収納税義務者として、社員から住民税を預かり、翌月10日までに責任をもって支払うことが課せられています。一定程度長期で休む場合は、社員が直接支払う(普通徴収)方法へ変更できます。育児休業や介護休業、病気休業など一定期間休む場合は切り替えをお勧めします。切り替え後は納付書が社員の自宅に届きます。会社は納税義務者でなくなります。
二つ目、社会保険料ですが、休職前に毎月の納付について話し合いましょう。毎月〇日に会社が指定する口座へ振り込むことを、休職辞令や休職覚書などで明記してください。傷病手当金の入金のタイミングに合わせるのもいいかもしれません。
三つ目、貸付金ですが、社会保険料と同様定期的に支払う約束を書面で取り交わしてください。入金が滞った場合は、連帯保証人を取るなど対策を講じてください。
回収不能にならないためには、在職中の、事前の対策、休業中のこまめな連絡(メンタル疾患休職者については、頻度が多すぎると症状の悪化につながりますので、身元保証人等を巻き込むなど、十分な配慮が必要です)が必要です。
退職後の対策ですが、請求書を工夫しましょう。時効の中断にもつながります。以前、立て替え額があまりにも高額なため、簡易裁判所を通じた支払い命令、弁護士へ相談した事例もありました。
退職後の回収はなかなか難しいです。在職中に、対策を取りましょう。