特定社労士の比嘉です。

業務に必要な資格取得を奨励することは多いと思います。社員の能力が高まれば、業績への高い貢献が見込まれます。

しかし、ちょこちょこ相談があるのが、「資格取得した瞬間に辞めやがった。許せない!研修費用耳をそろえて返しやがれ」です。ここまで激しい表現で言われませんが、社長の心の声はこんな感じかなと思います。

「研修受けたらせめて5年は働いてほしい」と相談もありました。以前見かけた就業規則には「研修期間終了後、それぞれの研修毎に定めた期間の継続勤務を命ずる。その期間内に退職した場合は研修に要した費用の全額を返却すること」なるものがありました。定めたくなる気持ちもよくわかります。

労働法上、この決まりは問題となります。労働契約の不履行について違約金や損害賠償の額をあらかじめ定める契約を禁止するものです。社員が違約金を支払わされるのを恐れて、退職の自由を奪うことを防ぐために法律でそのように定めています。

そうは言っても、資格を取った途端に社員に辞められると釈然としないですね。結局どうすればいいか、「費用は社員の負担で、会社が立て替えている」ことにすればいいのです。一定期間働いたら返さなくていいと社員と契約しておけば単なるお金の貸し借りになり、法に抵触しないことになります。ルールを明確にするため、会社が必要とする資格と、その資格取得のための貸付費用、免除されることになる勤務期間を研修費貸付規程を作成しておくといいでしょう。

また、取得を強制しないこともポイントです。「強制しないと資格を取らないのでは」と不安に思うところですが、強制しないと取得しないなどの仕事に対する消極的姿勢について、指導を行い改善を促すようにしましょう。

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