時間外労働の上限規制は、2019年に働き方改革の一環として導入されました。労働基準法では、時間外労働は月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日含む)、複数月平均80時間(休日含む)を限度と定めています。
しかし、この規制はすべての業種に適用されるわけではありませんでした。工作物の建設の事業、自動車運転の業務、医業に従事する医師、鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業は、業務の特性などを考慮して、5年間適用が猶予されていました。しかし、この猶予期間は2024年4月で終了します。それでは、2024年4月からはどうなるのでしょうか。
2024年4月からどうなるか簡単にまとめると
・工作物の建設の事業は災害時における復旧の事業を除き上限規制が適用されます。
・自動車運転の業務は年間の時間外労働の上限が960時間となります。時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする規制は適用がなく、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月とする規制も適用されません。
・医業に従事する医師はA水準、連携B水準については年960時間(休日労働含む)、B水準、C水準では1860時間(休日労働含む)となり、これは副業・兼業先の労働時間を通算することになります。時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とする規制は適用がなく、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月とする規制も適用されません。
・鹿児島県及び沖縄県における製造業については上限規制がすべて適用されます。
これらの事業所は今からでも時間外労働について対策をしたおいたほうがよいでしょう。